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その介護施設で本当に大丈夫? 入居前に確認すべきこと


自宅から高齢者施設に移っても、元気に楽しく過ごすことが多くの人の願い(写真は本文と直接関係ありません) (c)朝日新聞社

施設入居の際の譲れない条件、チェックリスト20(週刊朝日 2018年7月27日号より)

定年後の人生が一目でわかる、老後の未来年表(週刊朝日 2018年7月27日号より)

特別養護老人ホームに入居する理由(週刊朝日 2018年7月27日号より)

年代別にみた高齢者施設に入る際の心構え(週刊朝日 2018年7月27日号より)

施設の費用やメリット・デメリット/取材をもとに筆者作成(週刊朝日 2018年7月27日号より)

 高齢者ホームを選ぶ際に、どんな点に気をつけるとよいのか。終のすみかとなるだけに、失敗しないためのチェックポイントを考えていきたい。

【施設入居の際の譲れない条件、チェックリスト20はこちら】

 まず、入居費用は立地やサービスの違いで大きく異なる。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんは「都心部にあって駅に近い新築の施設や、共用部分の設備が充実していて看護師の24時間常駐など人員配置が手厚い施設は、利用料金も高くなります」と話す。

 高齢者施設のサービス内容は、利用者にわかりにくい点が多い。このため、必要な介護を受けられないといったトラブルも起こる。

「母が今いる施設は介護サービス付きだと思って、入所を決めました。でも、実はそうでなかったことに、後から気がついたんです」

 そう語るのは、東京都内の50代女性。母が居室で転倒したとき、介護スタッフがすぐに駆けつけてくれなかった経験を持つ。

 おかしいと思ってよく調べてみると、母が入居したのは介護付き有料老人ホームではなく、サービス付き高齢者住宅。施設の違いを十分理解せず、入っていたようだった。

「介護付きですかと質問して、『付いています』と施設側から聞くと、安心してしまいます。でも、実は併設の居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作り、訪問介護やデイサービスを使うプランだった。このように、入居してからサービスの違いに気がついたといった失敗例をよく聞きます」(太田さん)

 受けられる介護サービスの違いを知ることは、施設選びで最も大事なことだ。

「入居先として考えている施設は、介護保険制度の『特定施設入居者生活介護』(特定施設)の指定を受けているかどうか。施設の説明を聞くときは、その点を必ず確認しましょう。食事、掃除、介護サービスなどのすべてを施設職員が提供してくれます」(同)

 施設選びを親子で話し合う際、それぞれの立場から譲れない条件をチェックしていこう。例えば、施設の場所は親の生活圏内にするか、子どもの住んでいる地域にするか。個室で暮らせるのか、食堂だけでなく自室でも調理できるのか……。

 持病のある人は、通院時の支援態勢なども確認しておきたい。居室で倒れたら、常駐の看護師が対応してくれるか。認知症になっても、そのまま生活して介護を受けられるか。施設によっては、入院して3カ月以上留守にすると、退去させられるケースもある。

 チェックしていき優先度の高いものから順位をつけると、候補施設は自ずと絞られてくる。

「例えば、東京都心にあって駅から近いと、5千万円ほどの入居一時金がかかる施設もあります。こうした施設を入居先候補として考えても、金銭的に厳しい人が多いはずです。そうであれば、エリアを郊外に変えるなど、条件を少しずつ変更して探しましょう」(同)

 条件に合う施設をある程度絞ってから、見学に行くとよい。最低でも3カ所ほどの施設に足を運びたい。

 ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが言う。

「高齢者施設は、老後の大切な時間を過ごす生活の場です。大事なのは毎日口にする食事で、施設見学に行く際は入居者が食堂に集まる昼食時間がベスト。食事の味つけや見栄えだけでなく、入居者はどんな感じの人たちかもわかります。さらに、自分で食べるのが難しくなったときの介助の方法など、食事時間に見えてくることはたくさんあります」

 食事の際、梅干しなどを自室から持ち込んでもよいか。居室内での食べ物の持ち込みを禁止されていても、飲み物はOKという施設もある。晩酌が好きな人は、どのくらい融通のきく飲食の環境なのかを調べておこう。

 外出方法も確認しておきたい大切な項目のひとつ。要介護度が重くなると、一人で外出することは難しい。家族が付き添えば、外出できるのか。また、要介護1~2の人が、外食に出る自由度はあるのか。介護が必要な身になっても、部屋に閉じこもらず、自分の趣味や好きなことをやり続けられると生きがいも持ちやすい。

 今や「人生100年時代」と言われる。長い定年後にどんなことが待ち受けているかを「老後の未来年表」としてまとめた。平均すると何歳ごろまで健康でいられ、年とともにどんな変化が起きるのかを知っておくと、人生後半の設計も立てやすくなる。必要な備えに役立ててほしい。(村田くみ)

※週刊朝日  2018年7月27日号
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